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2013年1月15日火曜日

上野発の信越線


187 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2003/02/22 00:29:00
昭和21年、上野発の信越線が高崎駅を出るのは午前2時半過ぎで、ほとんど
列車の客も起きている人はいない。列車はあえぎあえぎ登り横川に着く。
この駅で、アプト式電気機関車にリレーされ、碓氷峠の坂道を登るのだが、K
車掌が幻の娘を見たのは、その最後尾のがらんとした車輌だった。
20歳くらいの和服のお嬢さんふうで、K車掌のいる後方に背中を向けて坐っていた。
おや、どこから乗ったんだろうと、おかしく思った。横川まではたしかにいな
かったし、横川からだとすると、夜中の3時過ぎ、たったひとりで若い娘が
乗車したことになる。何か急用でもあって急いでいるのかな、とも思った。
K車掌も夜中のことでついうとうととして、もうすぐ軽井沢なので立ち上がって
ふと気がつくと先ほどまでいた娘が消えてなくなってしまった。背中を向けて
いたのでどんな顔をしていたのか、見えなかったという。S車掌も、やはり
着物を着た、たしかにその娘さんだというし話してみるとほかにも二、三の
車掌さんが、それと同じような経験をしたといい出した。ともかく軽井沢の
手前の最終トンネルの中で消えてしまうという。この話は尾鰭がついて、国鉄
職員の間でうわさがうわさを呼んで吹聴され、碓井峠の幽霊娘の話は高崎
管理局では誰ひとり知らぬものがないほどになった。

-今野圓輔著「日本怪談集(幽霊篇)」教養文庫刊より引用-

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