地域別心霊カテゴリー

2012年12月2日日曜日

おしいれ


137 : さたな[] : 投稿日:2003/04/28 05:37:00
【おしいれ】
その子(女の子)のおじさんは資産家で、大阪市内にいくつもずいぶんと古い、
けれどもかなり広い敷地の家を持っていた。
で、その女の子の両親はそのうちの一つを、伯父さんの好意によりタダみたいな
家賃で借りていた。
とにかく大きな屋敷で、二階建てなのだが、部屋数だけで十いくつもある。
もちろん、どれもこれも広い部屋だ。
三人家族が住むには広すぎるので、二階と一階の半分は閉め切ったままにして
、残りの部分を使っていた。
ある日、女の子はこの屋敷の閉め切った空き家部分に入り込んだ。
ちょうどその日は大掃除をしていて、ふだんは鍵をかけている、空き家部分との
境の戸を開け放っていたのである。
戸をくぐると、八畳ほどの和室が何間も続いていた。
仕切りの襖をはずしているので、大広間のように見える。
天井や柱に使われている木材は厳選されたもので、ホコリにすすけているとは
いえ重々しく、時代を感じさせる。迫力といってもいいだろう。
ここには、家具や調度品のたぐいは一切ない。
けれども、初めて入り込んだヤンチャな女の子には、それだけで十分楽しかった
らしい。



138 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2003/04/28 05:37:00
アハハ、アハハハハハハ。キャハハハハ。

母親がちょっと外に出ているのをいいことに、声をあげながら広い座敷を走り
回り、古い畳からホコリの煙をたてていた。
それから女の子は、奥の廊下に入っていった。
外は春の晴天だったけれどとも、ここには陽の光はまったく入ってこない。
その突き当たりには、押し入れがあった。
たぶん、昔はふだん使わないフトンか何か入れていたのだろう。
現在はもちろん、何も入れてはいないはずだ。空のはずなのである。
女の子は、好奇心のままに押し入れの戸を開けた……。
ここからがどうもはっきりしないのだが、空であるはずの押し入れの中は、
空ではなかったのだそうだ。
そこには小さな人が、たくさんいた。
“小さな人”というのは、幼児がそう言ったのだ。なんだかよくわからない。
とにかく小さな人がたくさんいて、みんなきちんと正座していたというのである。
これは後でその子が真似をして座ってみせたのだから、まちがいない。

「-------------」パタン。



139 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] : 投稿日:2003/04/28 05:38:00
と、女の子は一度は大きく開け放った戸を、もう一度ちゃんと閉めた。
それから、その子はまたパタパタと足音を立てて廊下を走りだした。
その子なりに、今見た光景にただならないものを感じたのだろう。母親を呼びにいった
のである。
「そんな嘘を言って!」、と、最初は叱ったものの、女の子の真剣な表情を見て
いると、嘘を言ってるようには思えなくなってきた。
ひょっとしたら、本当に空き巣なのかもしれない。
母親はとりあえず女の子の言う場所に行ってみた。
その押し入れは、しんとしていた。
子供が言うように、中に誰かが潜んでいるようには思えない。けれど……。

がたん。

母親は思い切って、取っ手に手をかけて戸をいっぱいに開けた。
ぷんと湿ったホコリっぽい臭いがする。
空だ。中には誰もいない。あたりまえだ。



140 : おしまい[] : 投稿日:2003/04/28 05:38:00
だが、母親は、じっと押し入れの中を見つめていた。
内部にはホコリが厚く積もっていた。
そして、その上に小さな手形や足形らしきものが無数にべたべたとついていたのだ。
床だけではない。壁にも。天井にも、一面に!
それは、ネズミの足跡などではなかった。
といって、何かと言われればちょっと即答できないような、実に奇妙なしろものだった
そうだ。
この一件以来、とりわけ母親は気味悪がっているそうだが、何しろ親戚の持ち家だ。
どうこうできるものじゃあない。
別に今まで悪い噂があったわけではないし。
…………今後のことは、わからないけれど。


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