地域別心霊カテゴリー

2012年12月1日土曜日

釧路湿原


22 : 深夜の贈り物。[sage] : 投稿日:2003/04/18 00:34:00
今から15年ほど前の秋のことですから古い話です。
当時某大学でワンゲル部の部長だった私は、活動の一環として、弟子屈町から釧路
湿原を横断して釧路市へ至る約100キロを歩く計画を立てました。
メンバーはリーダーの私を含めて3名。一年下のN君と2年下のOさん(女性)。
宿泊はテント泊とし、食料は適宜現地で調達としました。このころは、このよう
な活動が盛んで、ひたすら北海道の広い大地を大荷物を背負って歩いたものです。

それは歩き出してから二日目の出来事です。
弟子屈から順調に南下し、その日は、釧路湿原の中を通る細い砂利道を一日中歩
いていました。このルートは途中にほとんど人家が無く、たまに家を見つけても
すべて廃屋のような状況でした。当然車もほとんど通りません。
やがて、道は深い樹林帯に入り、日没が近づいてきました。適当な空き地を見つ
けて幕営する予定だったのですが、なかなか適した空き地がありません。森はま
すますうっそうとしてきて、周囲も暗くなってきました。まさか道路上に幕営す
る訳にもいかず、リーダーとして進退窮まったところで、道の脇に、高台へ通じ
る石段を見つけました。石段はかなり古く、すっかり草に覆われていましたが、
石段がある以上高台の上になにかがあるはずだと判断して、登ってみました。



23 : 深夜の贈り物。[sage] : 投稿日:2003/04/18 00:38:00
覆い被さる小枝を避けながら上り詰めてみると、そこにはのびきった雑草に囲まれ
て、朽ちかけて傾いた古い祠が建っていました。神社かと思いましたが鳥居があり
ません。そばの太い丸太杭にかなり大きな筆文字で「畜生魂」とだけ書かれていま
した。かなり異様な雰囲気でしたが、すでに日没を迎えあたりはすっかり暗くなっ
ていたので、祠の前の小さな境内を幕営地とし、草を踏みならしてテント設営を行
いました。その日はまったく風が無くて、周囲は静まりかえり、当然照明も無いの
で、私たちは深い闇に囲まれていました。
テントを張り終わり、食事の準備を始めたのですが、部員達がいつもより無口なの
が気になりました。おそらく、皆疲労が溜まって気持ちが沈んでいるのだろうと思
い、私は努めて快活に部員へ話しかけていました。
その時です!



24 : 深夜の贈り物。[sage] : 投稿日:2003/04/18 00:40:00
「ドンドンドンドン」
と、不意に不気味な音がすぐ近く、祠の方向から鳴り響きました。かなり大きな音
で、太鼓を連打する音のように聞こえました。
私たちはびっくりし、動作が凍り付きました。皆目を見開いてお互いを見つめてい
ます。
N君がやっと口を開きました。
部員(N君):「部長聞こえましたか?」
私:「うん、聞こえた」
部員(N君):「そこの祠から太鼓の音が聞こえましたよ・・・」声が震えています。

私は心霊現象はまったく信じず、今までそのたぐいの現象に出会ったこともありませ
んでした。ですから、このときも比較的冷静でした。
まず、部員を落ち着かせて、音の原因を探ることにしました。最初に誰かのいたずら
かと思い、「おい!そこに誰か居るのか?」と祠やその周辺の闇に向かって叫んでみ
ました。しかし、何の反応もありません。



25 : 深夜の贈り物。[sage] : 投稿日:2003/04/18 00:43:00
次に祠に誰かが隠れているのかと思い、キャップライトを装着して祠を調べてみました。入り口は開かず、格子から中を窺ってみましたが、中は荒れ果てたがらんどうで、人も太鼓も見あたりませんでした。
祠の周囲を、草をかき分けながら一周してみましたが、やはり人の気配も痕跡もま
ったくありません。
何かの加減で祠が揺れて、木材が何かに当たった音かとも思い、三人で祠を押して
揺らしてみましたが、かすかにきしみ音が聞こえただけでした。
原因が分からなくなったとたんに、急に背筋に寒いものが降りてきます。テントの
前まで戻った私たちは車座になり、顔をつき合わせました。
私:「おい!なんかやばいな!」
部員:「やばいっすよ!」
私:「逃げるか!」
部員:「逃げましょう!」
全員一致でこの場から脱出することになり、直ちに広げた食器をザックにたたき
込み、張ったテントはそのまま三人の頭の上に持ち上げて、駆け足でスタコラ逃
げ出しました。
途中で後ろを振り返ると、なんだか嫌なものが見えそうな気がして、まっすぐ前
を見ながら一心不乱に走りました。ほかの部員も同じ気持ちだったらしく、なに
もしゃべらず同じように走っています。
真っ暗な砂利道を、どれほど走ったでしょうか?しばらくすると、小さな町並み
が見えてきました。町はずれの小学校の校庭に荷物を下ろし、私たちはやっと一
息つけました。
ここなら、人家も見えて安心できそうです。



26 : 深夜の贈り物。[] : 投稿日:2003/04/18 00:44:00
私たちは興奮して、音の正体を討議しましたが、まったく正体不明のものであるとしか言えませんでした。
生まれてはじめて体験する、実に不思議な出来事でした。
N君は真剣な顔で言いました。
「部長、このことは3人の間でずっと秘密にしましょう。そうしないと、こういう事は祟ると聞いたことがあります!」
「うん、そうだな・・・」

もちろん、私はこんなおもしろいことを胸に秘めていられないたちですので、N君には内緒で皆に吹聴して回りました。祟れるとしたら、こんなに罰当たりな私でしょう。N君安心してください。
幸い、今のところ私は祟られてはいないようです・・が、神秘否定主義の私の中で
何かが変わりました。
夕張のお化け病院で戯け、人柱トンネルに潜み、旭川周辺のあらゆる心霊スポット
をあざ笑うかのように蹂躙しまくっていた私は、すこし行動を慎むようになりまし
た。
特に今もあの場所、畜生魂と書かれた杭のある場所の近くへは行く気がしません。
たぶん、一生近づかないでしょう。

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